会社を退職した後の健康保険ですが、勤めていた会社の健康保険をそのまま継続して利用する任意継続というやり方と、普通に国民健康保険に切り替えるやり方があります。
この記事では、任意継続ではなく国民健康保険に切り替えた場合の軽減手続きについて紹介します。また、今回紹介する軽減制度は、基本的には会社都合で離職した人のみが利用できる制度のため、自己都合退職の場合は対象外となる場合があります。
非自発的失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置になります。
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国民健康保険料(税)の軽減制度ってどんな内容?
今回紹介する軽減制度ですが、僕が知ったのはハローワークで失業保険の手続きをした時に渡される「雇用保険受給資格者のしおり」の最後の方に記載されていました。
ハローワークでも特にこの軽減制度については話してくれなかったので、正直気づかなかったら手続きしてなかったと思います。
軽減の対象になる人
対象者は会社をやむを得ない理由で離職した人になり、まず条件としては下記の3つをクリアしている必要があります。
- 平成21年3月31日以降に離職
- 離職時の年齢が65歳未満
- 離職後から失業保険を受給している
また、上記の3つの条件をクリアしても、3番が自己都合退職での失業保険の受給の場合は対象外です。失業した理由としては、基本的に会社都合という事が条件になってます。
会社都合で退職した場合は、その離職理由により下記の2つの種別に分類されます。
- 特定受給資格者(倒産や解雇などによる離職)
- 特定理由離職者(雇い止めなどによる離職)
自身が1と2のどちらに該当するかですが、これはハローワークで渡される"雇用保険受給資格者証"に記載されてます。
"雇用保険受給資格者証"の第1面、12番の離職理由の欄に番号が記載されていると思います。それが下記表に当てはまれば、国民健康保険の軽減対象になります。
特定受給資格者 | 11 解雇 12 天災等の理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇 21 雇い止め(雇用期間3年以上雇い止め通知あり) 22 雇い止め(雇用期間3年未満更新明示あり) 31 事業主からの働きかけによる正当な理由のある自己都合退職 32 事業所移転等に伴う正当な理由のある自己都合退職 |
特定理由離職者 | 23 期間満了(雇用期間3年未満更新明示なし) 33 正当な理由のある自己都合退職 34 正当な理由のある自己都合退職(被保険者期間12ヶ月未満) |
軽減額はどれくらいなのか
国民健康保険の計算方法は複雑で、市区町村によっても料金が変わってきます。ただ、前年の収入を元にして計算されるというルールは共通です。
気になる軽減額ですが、前年の給与所得を100分の30として計算するようです。という事は、前年度の年収が500万だとすると年収150万として計算してくれるのです。これはとてつもなく大きいですね。
単純に3分の1くらいになってます。国民健康保険の算出方法が市区町村により異なるので一概には言えませんが、単純計算で毎月15,000円くらい払う予定だったとすれば、4,500円まで下がる事になりますね。
手続きをする場所と持ち物
手続きをする場所は市区町村の役所になります。ハローワークではありませんのでご注意ください。
持ち物は、ハローワークで渡される雇用保険受給資格者証と身分証明書、健康保険証、印鑑の4点を持って行きます。手続き自体は10分もかからない程度なので、役所が込み合ってなければすぐに終わるでしょう。
その他注意事項や覚えておきたい事
期限が設けられている
とても手厚い軽減制度なのですが、この軽減措置が一生続くわけではありません。(当然ですね) 期限が設けられており、離職日の翌日から翌年度末までとなっています。
この"翌年度"がポイントになっていて、タイミングによっては最大で約2年間の軽減措置を受けられます。逆に年度末ギリギリの退職などタイミングが悪いと、軽減措置を受けられる期間は約1年になってしまいます。
- 例1 離職日が平成27年6月20日の場合、減額期間は平成27年6月から平成29年3月まで
- 例2 離職日が平成29年3月31日の場合、減額期間は平成29年4月から平成31年3月まで
また、軽減措置中でも就職して会社の雇用保険に入る場合は、国民健康保険は脱退する事になりますので、その時点で終了になります。
自分で申請する必要がある
国民健康保険の軽減制度ですが、対象であっても自動的に適用されるわけではありません。自分自身で申請手続きをする必要があります。
対象であっても誰も教えてくれないので、知らない人は多分知らないままなんでしょうね。(もしかしたら対象者には何か通知がくるかも?)
僕はたまたまハローワークのしおりで見つけたので良かったのですが、知らない人や知ってても申請しなければ軽減措置は受けられませんので、ご注意ください。
遡って適用する事も可能
軽減措置を受けるためには申請する必要がありますが、忘れていても大丈夫です。後で気づいて申請しても健康保険料(税)は5年間までなら遡って適用されるようです。
なので、後で気づいたという方も、書類を持って一度役所に行くと良いと思いますよ。還付手続きになると振込先等の確認も必要になるので、念のため通帳も持って行った方がいいですね。
軽減対象になる人は任意継続ではなく国保を選ぶ
退職後に健康保険の切替で迷っている方は、この軽減対象なのかどうかを判断してから決めた方がいいです。
計算した時に任意継続の方が安いなぁ!と思っても、今回の軽減措置を受けられたら国保の方が断然安い!なんて事もありえますからね。
まとめ
今回紹介した国民健康保険料(税)の軽減制度ですが、対象者は限られますが失業後の経済状況を考えると、とても助かる制度です。
ハローワークでの説明は対象者が限られ過ぎるから説明してないのか、僕が聞き漏らしていたのかはわかりませんが、対象だった場合は必ず手続きをしましょう。
自発的に申請が必要とはいえ、事後申請でも受け付けてくれて遡って適用してくれる点は素晴らしいと思います。
やむを得ない理由で離職する人を非自発的失業者と言いますが、このような人たちに対しての軽減措置が、健康保険以外でも増える事を期待したいですね。